庵野秀明氏が友人・知人等のインタビュー・寄稿を責任編集し、1993年に発行した同人誌「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会」は幻の同人誌と言われ、中古マーケットでも目にすることがほとんど無い(稀にあった場合でも10万円以上という高額で取引されていました)同人誌でした。
しかし、庵野氏率いる株式会社カラーの企画・編集・発行、協力・特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)そして発売・株式会社スタイル(アニメスタイル)により「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会」が復刻版として昨年末のコミケで販売され、今年になってからはAmazonでも購入可能となりました。
ちなみにAmazonでのレビューは星5つ中の4.7と高評価で、今まで入手出来なかったファンも満足の一冊と言えるでしょう。
![Amazonレビュー画像](https://www.danjarianimanga.com/wp-content/uploads/2023/03/72E8D2D3-49E6-492B-B2DD-C897DD4F4BDA-1024x541.jpeg)
上位の批判的レビューも批判の内容もわずか星3つです。
![上位の批判的レビュー画像](https://www.danjarianimanga.com/wp-content/uploads/2023/03/590A14EA-2B3D-42AC-B5A1-78CEA4120CE4-1024x323.jpeg)
「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」は1988年3月12日に公開され、配給収入6億2000万円、興行収入11億3000万円、観客動員数103万人を記録しました。(この記事では作品のストーリー等については割愛させて頂きます。(あらすじはこちら→「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」公式サイト)
映画制作時、ガイナックスとして作品にも参加した庵野氏が、公開から5年が過ぎた1993年に「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の検証、総括、啓蒙、そして作品を文化的遺産として後世に残すことを目的として企画、編集したこの同人誌は、富野由悠季氏をはじめとするインタビューと寄稿文の二つの角度から映画「逆襲のシャア」を検証しようと試みようとしています。(「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会」庵野氏まえがきより)
![友の会まえがき5p画像](https://www.danjarianimanga.com/wp-content/uploads/2023/03/92803D27-3C36-436E-AC40-5C598A38AE9E-940x1024.jpeg)
表紙は「宇宙戦艦ヤマト2199」のキャラクターデザイン等で有名な結城信輝氏によるアムロ、シャアそしてララァのイラスト。今回の復刻が決定して、表紙の描き直しを願うも、それでは復刻版ではないと言われ却下されたのも面白いですね。
![結城信輝氏Twitter画像](https://www.danjarianimanga.com/wp-content/uploads/2023/03/565712FA-0DBC-4E6D-BAFE-4B2B2C738297-1024x885.jpeg)
インタビュー、寄稿文が掲載されているのは(敬称略・肩書きは掲載の肩書きです)
寄稿文
あさりよしとお(漫画家)
大月俊倫(スターチャイルドレコード・チーフプロデューサー)
會川昇(脚本家)
早見裕司(小説家・教師・アニメライター)
インタビュー(掲載順)
山賀博之(ガイナックス社長で映画監督)
井上伸一郎(東京女性情報誌「Chou Chou編集長 元「月刊Newtype」編集長)
内田健二(株サンライズプロデューサー「逆襲のシャア」プロデューサー)
北爪宏幸(「逆襲のシャア」キャラクターデザイン・作画監督)
出渕裕 (「逆襲のシャア」モビルスーツデザイン)
鈴木敏夫(元月刊アニメージュ編集長)
永島収(元アニメック編集)
押井守(「天使のたまご」原案・脚本・監督)
幾原邦彦(「美少女戦士セーラームーンR」SD)
ゆうきまさみ(元アニパロ屋)
富野由悠季(「逆襲のシャア」原作・脚本・監督)
![出渕裕氏イラスト画像](https://www.danjarianimanga.com/wp-content/uploads/2023/03/96D7550D-0C83-4F23-A140-882C4438E0B3-905x1024.jpeg)
掲載されている各人の寄稿文・インタビューのそれぞれで「逆襲のシャア」への思い入れ、考察が語られ、また、当時のスタッフからは思い入れの他に製作当時の状況などが語られており「逆襲のシャア」の資料本として大変貴重と思われます。そして、その中でも当時「機動戦士Zガンダム」LDBOX解説書のためのインタビューに便乗して取材された富野由悠季氏のインタビューはとりわけ読み応えがあります。
富野由悠季氏のインタビュー中、富野氏の大変興味深いコメントや庵野氏の考察などが多く掲載され、「Z」「ZZ」と続くガンダム作品群において「逆襲のシャア」において富野氏が表現したかったことなど、かつてガンダムファンの間で話題になっていた話のニュースソースや最近YouTube でも人気のオタク評論家O氏が意気揚揚と語っているネタ元はここだったのかと確認することが出来ました。
また、富野氏がインタビュー中でもコメントしているように、富野氏がアニメーターとして全幅の信頼をよせている安彦良和氏との別れが無ければ、富野氏が「逆襲のシャア」で演出したかった作画を安彦氏に任せられていたであろうことも語られていて、個人的にも安彦氏キャラクターデザイン・作画監督の「逆襲のシャア」を観てみたかったと思いました。
(富野氏のインタビューを読んだ後に北爪氏のインタビューを読むと、北爪氏のインタビューが更に興味深く読めるのでオススメです。)
![シャアとナナイ画像](https://www.danjarianimanga.com/wp-content/uploads/2023/03/4E2AA8AC-29D4-4C9B-BA98-8F264D4476EF.jpeg)
復刻版のあとがきにはこの『「逆襲のシャア」友の会』本が無ければ、庵野氏はTV版エヴァンゲリオンを進めることが出来なかった、とあるように後に「シン・ゴジラ」「シン・エヴァ」(「シン・仮面ライダー」)と続く、今の映画監督、庵野氏にとってはエピックな同人誌だったことがわかります。
![あとがき画像](https://www.danjarianimanga.com/wp-content/uploads/2023/03/8A08DBC5-05D3-4786-8179-1DED3ACBE3F4-820x1024.jpeg)
今回の復刻版には副読本としてリーフレットも付いており、同人誌作成時のエピソードも知ることが出来ます。
![リーフレット画像](https://www.danjarianimanga.com/wp-content/uploads/2023/03/B0D6F461-0974-413A-80FA-51C1B03EDF5F-692x1024.jpeg)
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